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現在、御菓子司備庵の代表を務めるのは、3代目の葛原章平氏である。和菓子屋の職人といえば、少し硬派なイメージがあるが、葛原氏は何事もまずは受け入れる、オープンマインドを持った非常にユニークな方である。そのユニークさは葛原氏の過去を見れば、想像が出来るだろう。

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岡山県県内の大学卒業後、色々な業種を経験したいという思いがあり、通信機器、保険、旅行などの会社を約10年間、サラリーマンとして歩き回った。前職の旅行会社では、支店長として、店舗のマネジメントや社員教育などの経験もある。サラリーマン時代を通じて、人付き合いを上手くするためのコミュニケーション、マネジメント・リーダーシップなどの能力が鍛えられ、現在の土台となっているそうだ。

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その後、35歳で現在の家業を引き継いだ。当初は、父親がいなかったので、全てがゼロからのスタートであった。和菓子の作り方も、他の和菓子職人に頼み込んで、一から学んだ。当時のメニューや、仕入れ先なども全て新しいものに変えた。「大変な日々だった、サラリーマン時代と違い、自分が努力した分だけ、その見返りが返ってくるので、頑張ることが出来た」と語る。その後、ある程度落ち着いてくると、菓子業界を盛り上げるために、岡山県御菓子組合青年部の部長として8年、さらに、菓子組合の中四国のブロック長として4年間、精一杯働いた。「サラリーマン時代に養った能力がここでの経験で大いに役立った。今後は、菓子組合の親組合で、衰退しているお菓子業界の発展に力を入れていきたい」と話す。

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葛原氏曰く、「お菓子とは、人とのコミュニケーションを作るものであり、地域に根ざした食文化である。人との会話の中にお菓子があることで、新しいコミュニケーションを生むのである。さらに、地域の年間行事にも、引き立て役としてお菓子は必要だ。今後も、地域にしっかりと根を張り、地域住民が求める和菓子を作り続けたい。」と語る。葛原氏の好きな言葉は「世の人は我を何とも言わば言え 我が成す事は我のみぞ知る(坂本龍馬)」だそうだ。「生涯を通じて、自分のやっている事に自信を持ち、自分の道を歩みたい。」と、自らの信念を話してくれた。

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